大洗磯前神社

海と夕日

茨城県東茨城郡大洗町にある「大洗磯崎(おおあらいいそさき)」は、太平洋に面した小高い丘の上に鎮座する由緒ある神社です。この神社は絶景パワースポットとしても有名で、大洗海岸の岩礁に立つ神磯の鳥居越しに拝む日の出は、息をのむほど美しいそうです。ここでは、大洗磯前神社の見どころを紹介します。

神磯の鳥居

ここは神が降り立ったといわれる場所です。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の大洗駅から、循環バス「海遊号」に揺られること約15分。バス停で下車をして、参道を歩くと二の鳥居が見えてきます。大洗磯前神社の本殿や社殿には、この鳥居の奥に見える丘の上にあります。神磯の鳥居に行く前にこの神社の発祥にかかわる大切な場所があります。それは、神磯の鳥居です。

岩礁に砕ける白波と静かにたたずむ、鳥居がなんともダイナミックな光景を生み出しています。さまざまな岩に当たって砕ける荒々しい波音と、砂を洗う引き波の優しい音が交互に押し寄せます。その独特の音は耳に心地よく響くので、時間を忘れてたたずんでしまうでしょう。実は神磯の鳥居がある場所は、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)2柱の神様が降り立ったという聖地です。日本文徳天皇実録によると、「その日突如として海が光り輝いたかと思うと、大・小2つの石が現れ「この国を造って常世の国(海の彼方の世界)へ去ったが、人々の難儀を救うために再びこの地に帰れり」と告げられたのだそう。

その時代は天然痘が大流行していた時代です。大己貴命・少彦名命は国づくりと医薬の祖神であることから、薬師菩薩の力と合わせて難病を救う大洗磯前薬師菩薩神社としてまつられるようになります。江戸時代には、「大洗磯前大明神」となり、明治に入ってからは「大洗磯前神社」と改名をしています。

かつては交通の要所

長くて急な階段を上ると、もう一つの鳥居があります。その奥に隋神門(ずいしんもん)があります。隋神門の手間には手水舎があります。ここの神水は、湧き水で無病息災のご利益があるからと、くみに来る人も多いようです。立派な隋神門の両脇には、陶器製の狛犬が鎮座しています。また、大洗はその昔海と川に囲まれており、関東の交通の要所でした。この狛犬は、備前焼でできており、開運で西から物資を運んだ人々が、大洗に立ち寄った印として奉納されたものと考えられています。

水戸黄門ゆかりの建造物

大洗前神社は1100年以上の歴史を誇りますが、戦国時代に戦ですべて焼かれてしまったため、江戸中期まで小さな祠があるだけだったそうです。神社を再建したのは、元禄時代を生きた水戸藩主・水戸光圀です。「歴史ある大洗さまがそのような状態では申し訳ない」と、建物と森の造営を命じたそうです。こうして現在のような立派な神社ができたのです。白木造りの簡素な建物の中に、ところどころ鮮やかに色彩の彫刻が施されているのも、この神社の特徴の一つです。2011年に起きた東日本大震災をきっかけに拝殿の屋根の修復が行われ、かやぶき屋根も吹き替えられたとのこと。是非近くにきたら寄ってみてください。